資産をお持ちのお客様の最大の関心事は次の世代にどうやってどれだけ多くの財産を残すかだと思います。
当事務所では、TKC資産対策研究会で職員ともども研鑽にはげみ、相続財産の評価、相続税シミュレーションを実施しています。
相続税、贈与税の申告受託を行っているとともに、民法の相続知識を活かし、行政書士事務所として遺言等のサービスも併せて行っています。
「相続」とは、亡くなった人(被相続人)から民法で定められている法定相続人が財産を取得した場合をいいます。
遺言があり、相続人やその他の人が財産を取得した場合を「遺贈」といいます。
相続の方法には3つあります。
◇法定相続…民法で定められた人が定められたとおりにもらう相続
◇遺言相続…遺言書により被相続人の遺志に従って内容を決める相続
◇分割協議相続…相続人全員で協議して遺産の分割方法を決める相続
「相続税」は被相続人の財産を相続、遺贈、相続時精算課税にかかる贈与によって取得した場合に、その財産の価額をもとに課せられる税金です。
ただし、相続税には基礎控除があり、遺産額が基礎控除額を超えない場合には相続税はかからず、税務署に申告する必要もありません。
【基礎控除額】
3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税が発生する場合、基礎控除額は法定相続人の人数によって変わるので、相続金額と相続人数が重要になります。
また、配偶者控除や小規模宅地の評価減など申告時に使える税務上の特例によって、相続税がかからない場合もあります。
納税義務者は相続または遺贈により財産を取得した人です。
【財産の承認】
民法で定められている財産の承認には3種類あります。相続人はこの3種類から対応を選択することができます。
①単純承認(民法896条)…すべての財産を引き継ぐ
②限定承認(民法922条)…プラスの財産の範囲にとどめる
③相続放棄(民法915条)…すべての財産を引き継がない
【相続税のかかる財産】
○現金・銀行預金・郵便貯金
○株式・公社債などの有価証券
○土地・建物などの不動産
○事業用財産・家庭用財産・ゴルフ会員権など 一切の財産
【配偶者の税額軽減(配偶者控除)】
被相続人の配偶者は、1億6000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までの取得財産について、相続税がかかりません。
【未成年者控除】
相続人が満20歳未満の場合は、成人になるまでの養育費や教育費が考慮され”満20歳に達するまでの年数×10万円”が相続税額から控除されます。
(日本国内に住んでいることが条件)
【障害者控除】
相続人が障害者の場合は、”満85歳に達するまでの年数×10万円”(特別障害者の場合は20万円)が相続税額から控除されます。
【暦年課税にかかる贈与税額控除】(贈与税については下記に詳細を載せています)
「課税遺産総額の計算」で加算した”相続開始前3年以内の贈与財産”の価額に対して、すでに支払っている贈与税がある場合は、贈与税額が相続税から控除されます。
【相続時精算課税にかかる贈与税額控除】(贈与税については下記に詳細を載せています)
「課税遺産総額の計算」で加算した”相続時精算課税の対象となる贈与”の価額に対して、すでに支払っている贈与税がある場合は、贈与税額が相続税から控除されます。
すでに支払っている贈与税の方が多い場合は、申告をすることで差額を返してもらうことができます。
宅地や建物を相続した場合、相続税や贈与税を計算するうえで、その宅地や建物を正確に評価する必要があります。
相続税の申告は、相続税法や国税庁の通達に従った財産評価方法をもとに行います。この財産評価方法は毎年基準を定め、全国統一的な扱いができるようになっています。相続税の申告で最も難しく、専門知識が必要になるのはこの相続税評価額の計算で、専門家にお任せいただく方が安心です。
宅地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2つの計算方式があります。
建物は、固定資産税評価額によって計算します。
◇路線価方式
「路線価方式」とは”路線価”が定められている地域の評価方法です。
”路線価”とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額のことで、主に市街化区域内における土地を評価するときに用います。
宅地の価額は原則、その土地の形状等を加味する必要があり、路面価をその土地の形状に応じた各種補正率で補正した後、その宅地の面積をかけて計算します。
正面路線価×奥行価格補正率×面積=評価額
◇倍率方式
「倍率方式」とは”路線価”が定められていない地域の評価方法です。
宅地の価額は原則、その宅地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算した金額で評価します。
倍率は地域ごとに定めらている”評価倍率表”で確認することができます。
固定資産税評価額×倍率=評価額
<小規模宅地等の特例>
被相続人などが居住用の宅地や事業用の宅地について、一定の要件を満たした場合にその宅地の評価額を減額することができます。
小規模宅地の減額を受けるために、相続税の申告書の提出が必要になります。
・一定の居住用宅地等330㎡・・・80%(減額率)
・一定の事業用宅地等400㎡・・・80%(減額率)
・一定の貸付用宅地等200㎡・・・50%(減額率)
【建物】
原則として、固定資産税評価額(時価から見ると取得価額の70%程度)により評価します。
家屋が賃貸用であれば、借地権割合30%が控除されます。
「贈与」とは、”自分の財産を無償であげること”であり、民法上で贈与契約といいます。
贈与契約で大事なポイントは3つあります。
①贈与は当事者の「あげます」という意思表示と、相手の「もらいます」という受諾によって契約が成立します
②贈与の証拠として贈与契約書を作成することが重要です
③法律要件を満たし、課税上否認されないようにしておくことも贈与成立の条件となります
「相続」には相続人が亡くなる前の”生前対策”と相続人が亡くなった後の”相続手続き”の2つがあります。
「贈与」は”生前対策”のうちの1つの選択肢です。
「贈与税」は、個人からの贈与によって財産を年間(1月1日~12月31日)に取得した人に対して、その財産を時価で評価して課税する税金のことをいいます。
「贈与税」は「相続税」を補完するための税金です。
「相続税」は亡くなった人が所有していた財産を、法律や遺言で相続人が引き継いだ際に発生する税金ですが、生前に財産を贈与することによって、将来の相続財産を減らしておけば、相続時に払う税金は減少します。
もし、生前にすべての財産を贈与した場合は亡くなった後に相続税は発生せず、逆に贈与せずに基礎控除を超える財産を持ったまま亡くなると、相続する財産に対して相続税が発生します。
相続の際にかかる税金に不公平が出ないように、「相続税」を補完する役割を持った税金が「贈与税」なのです。
そのため、贈与税は相続税よりも税率が高くなっています。
贈与税には”暦年課税”と”相続時精算課税”の2つがあり、財産を取得した人がそれぞれの課税法方法を選択できます。
1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けたすべての財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの額(課税価格)に、贈与税の税率をかけ、さらに控除額を引いて計算します。
特に何の手続きもせずに贈与をした場合はこの「暦年課税」になります。
財産をもらった翌年の2月1日から3月15日までの間に申告をする必要があります。
1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告の必要もありません。
贈与税額=(贈与財産の合計額ー110万円)×税率ー控除額 |
※「特例贈与」とは、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の子や孫が、祖父母や父母(直系尊属)から贈与を受けた財産のことです。
※「一般贈与」は、それ以外の人(兄弟、夫婦、未成年者など)が贈与を受けた財産のことです。
ここで注意が必要なのは、相続が発生する(相続人が亡くなる)前の3年以内の贈与は相続財産に持ち戻されてしまうということです。
相続税を節税するには贈与を早い時期に行っておいたり、相続人ではない人に贈与をしておくことがオススメです。
【配偶者からの自宅の贈与】
婚姻期間20年以上の夫婦の間で、居住用不動産や居住用不動産を取得するための金銭の贈与があった場合には、贈与税の申告をすることで基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円までの配偶者控除が受けられるという特例です。
【子や孫の住宅取得等資金の贈与】
子や孫などが自宅を新築・購入するために祖父母や父母から金銭の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすと非課税限度額までの金額について贈与税が非課税になる特例です。この特例は相続が発生する前の3年以内の贈与でも、相続財産に持ち戻す必要がありません。
【子や孫の教育資金の一括贈与】
30歳未満の子や孫が教育資金に充てるために父母や祖父母から金銭等の贈与を受けた場合、1,500万円までが非課税となります。30歳までに使い切らなかった場合、残額には贈与税がかかってしまうので計画性が必要です。
【子や孫の結婚・子育て資金の一括贈与】
20歳以上50歳未満の子が、結婚・子育て資金に充てるために父母から金銭等の贈与を受けた場合、1,000万円までが非課税となります。50歳までに使い切らなかった場合、残額には贈与税がかかってしまうので計画性が必要です。
20歳以上の子や孫が60歳以上の親や祖父母から財産の贈与を受けたとき、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額から最大2,500万円までは控除され、控除した残額に20%の税率をかけた金額が贈与税となる制度です。この時、110万円の基礎控除は受けられません。
ただし、相続が発生したとき、非課税限度額内を含めて贈与していた財産に相続税がかかります。そのため、相続時にかかる相続税分のお金を残しておく必要があります。
相続財産を先に贈与して、相続税の納税は後で行う制度です。
【メリット】
◇2,500万円まで贈与税が非課税となるため、非課税限度額内であれば贈与税をかけずに生前に財産を贈与できる
◇一般的な贈与税の基礎控除110万円を超えると贈与税がかかるため、一度に多額の財産を贈与する場合は有効
◇相続時に贈与財産が値上がりしていた場合、相続税負担が軽くなることがあるため、将来値上がりする可能性の高い財産や収益を生む可能性が高い財産は適用を受けた方が有効
(例:有価証券の贈与/収益物件を贈与した場合、贈与後に生まれた収益は相続財産にはならない)
【デメリット】
◇一度「相続時精算課税」を選択すると、その後「暦年課税」を選択することができなくなる
◇相続時に小規模宅地等の特例が適用できない
◇相続税が発生したとき、物納ができない
「相続時精算課税」はメリットが多いですが、相続時に相続税を払うリスクが大きいため、相続税がかからない人が利用することを勧めています。
反対に資産を多く持っている方や、贈与をしたい人が多い場合は、「暦年課税」で長期にわたって資産移動をした方が節税になる可能性が高いです。
例えば30年間、毎年200万円を3人に贈与し続ければ1憶8千万円の金額を贈与できます。この時にかかる贈与税は年間一人当たり9万円×3人×30年=総額810万円となります。
仮に1億8千万円の資産を持って亡くなった場合に相続人にかかる相続税と、贈与した場合にかかる贈与税とどちらが税金がかからないかを比較し節税になる方法を生前に選択することができます。
この時、相続人と相続人数によって税額が変わるのです。
また、孫に贈与をしていて相続人を子供にした場合は、相続発生前3年以内の贈与があっても子供への相続財産の持ち戻しはありません。
贈与のポイントは3つ「長期にわたってコツコツ資産移動する」「非課税の特例を利用する」「誰にあげるかを先を見据えて考える」です。
「宅地の評価」は例えば宅地がたくさんある場合に、どの宅地に適用を受けるかなどで減額金額が変わることもあります。
特に小規模宅地の特例の適用要件を満たす宅地については専門家でも選択の判断が難しく、専門家によって税額が大きく変わることもあります。
埼玉県は雑種地が多いため、土地の評価について経験豊富な専門家にお任せするのが安心です。
特例の減税効果を最大限に活用したい方、税額のシミュレーションを行いたい方はお近くの税理士、または長年の実績のある当事務所にお任せください。